リピドミクスとは?

 生体内には10万種類を超える脂質分子(リピドーム)が存在すると推定されています。リピドミクスは生命活動によって生じる特異的なリピドームの変動を網羅的に解析することで、先入観から脱却した予想外の発見が期待できる学術研究です。

 リピドミクスを軸としたリピドーム研究の進展は、新たな医薬や機能性食品の創製へと繋がる可能性が高く、経済的・産業的に大きな波及効果が期待されています。また、疾患マーカー脂質の発見や早期診断法の確立、ドラッグデリバリーにおけるリポソームの活用など、脂質ディバイスの活用も大いに期待されています。

 リピドミクスの対象となる脂質は、疎水性や極性の高いもの低いものなど非常に物性の異なる分子が存在します。さらに、分子による存在量のダイナミックレンジも広いことから、 目的に応じて最適なサンプル調製と質量分析手法を選択する必要があります。リピドミクス(メタボロミクス含む)により得られるデータは膨大になるため、そこから有用な結論を導くために「データマイニング」が重要となります。リピドミクスで最もよく用いられている多変量解析手法として主成分分析や階層・非階層クラスター解析などの探索的データ解析であります。これにより、膨大な量のデータの特性を調査し、データが含んでいる情報の内容を理解することができます。

リピドミクスのワークフロー

なぜリピドミクスが有用か?

  • 脂質は細胞膜の形成から、シグナル伝達など、細胞プロセスにおいて非常に重要な役割を担っています。
  • そのため、脂質代謝の研究が、病態生理学的状態の解明や、治療方針がそれらを改善するかどうかを解明するのに役立つと考えられています。
  • リピドミクスにおいて多くの分子種を持つ脂質分子を同定、定量し、変動を解析することは、さまざまな生命現象の理解に有用です。

脂質の三大機能と疾患の関連